クラウド系のチラシ、ロゴ、フォト、印刷を依頼する前に読む項目

チェックシート


クラウド型のロゴ、チラシパンフレット、フォトストックに対する発注者(購入者)に見て頂きたい注意点。

2015年3月第一稿執筆

 

(scene)クラウドをPCで発注する時の注意

昨今のロゴマークやチラシ、webサイト、イメージ写真、オンラインだけで出来てしまい、昔のように業者を呼んで打ち合わせもせずに、簡単 にコンペやダウンロードする時代になりました。そのメリットもあれば、デメリットもあり、新しいスタイルは、業務を提供する側だけでなく、発注者も注意し て従来の考え方を改めていけないと駄目になる点もあると考えています。以下にあくまで、私どもデザイン事務所スイスタジオの販促物やデザインに対する所感ではありますが、わかりやすく記載していきます。

 

———————広告・パンフレットについて————————-

 

(1)好き、嫌いを軸に判断しない。

「デザインって結局好みに左右されますよね」「やっぱりセンスが良いとかそういうことでしょう?」そういう意見を結構耳にします。社長さんの好みだけで決めて しまったというのなら、マーケティングの戦略も何もないのですから、それでコストパーオーダー(注文1件の費用対効果)の数値結果を求めようとも、そもそ もが戦略に沿ったデザインが選ばれているのかという点から見直していかなければいけません。

●5W1Hは最低限発注前に決めておきましょう。 

「何が目的で 何が主役なのか?」広告でもパンフレットでも会社案内でも、これすら設定せずに依頼したところで、軸がないのですから、ブレまくりマグレ当たり以外の期待はできなくなります。「誰に」対して「何を伝え」「どのタイミングで」「どのエリア、あるいはメディアで」「どのような理由や考え方から」「どのような表現をして」アクションさせ、ゴールへ導くか?最後のHOWに関しては、クリエイティブに任すべきですが、それ以前の5Wは、社内でしっかりと考えを固められていることが、ブレをおこさずゴールを狙える広告や販促物として仕上がる秘訣です。

 

(2)情報を届けるターゲット(の指向)、競合社のアプローチ、タイミング等明確にして作られているか?

●ターゲットが、何を欲しがっているのか?

何に問題を感じているのか?これは、広告表現の前の企画段階での重要な検討項目です。昨今は高額なマーケティング資料を購入しなくとも、インターネットを駆使すれば、特殊な製品でも無い限り、ある程度「誰が何を欲しい、何に不満を感じる」は見えてきます。「欲しいものを届ける」のが大切です。「こんな商品つくりました!」というメッセージだけでは人を動かすのはしんどいでしょう。

●表現がターゲットにあっているかというのは、重要な選定基準です。

具体的には、高齢者に向けての文字の大きさや読みやすさ、ミドル女性向け気品やお洒落な感覚、子供やご主人が好む製品だったとしても、家庭の奥さんの決定権が左右する場合、奥さんでもわかる説明ができているかなどです。

●カウントできない(見えない)反響も考慮しましょう。

アクセス解析できない紙メディアでは、来店してもらったり、電話注文してもらった数だけが反響とカウントしてしまい、それ以外は駄目だったと考えてしまうケースも見受けられます。しかし、webで言うところのブックマークのように、貴重な情報を載せた広告は、出前メニューのように引き出しにしまっているという話も聞きますし、注文はしないけど、広告はしっかり見ている、興味をもって商品を眺めているという声は実際に聞いています。将来への見込み客、社名を知ってもらっている会社の信頼度を支える見込み客へと育てるべく、簡単に切り捨てず、できるだけ声を拾い、発信し続けましょう。

●競合と、差別化できているか?

社名店名を競合店に差し替えた所で違和感がないものになり下がっていないか?こういう検証も大切です。とくにクラウドに応募する人はマーケティングの本もデザインの本も読んだ事がないソフト操作できるだけの見習いレベルの人も小遣い欲しさに応募します。競合とどこが違うか明確にしていないと、せっかく作った広告を持って競合社にいかれるかもしれません。自社はココが違うのです!という点が見えてくるか検証しましょう。

●人々が動くタイミングか?

例えば、折込広告は土曜日など週末は、時間もあり人が動く前の時間なだけに大量に出稿されています。土曜日や日曜日にイベントを企画するなら、沢山の「別の 予定」「他社広告からの誘惑」というライバルを凌駕しないといけません。逆にニッチを狙うなら、「雨の日割引」のように人が動きにくいライバルの少ないと ころを狙っていくのも方法です。厳寒の中でかき氷を売るのは難しいのですが、有名なマーケッターの著作は、そういった例も説明しております。(参照エスキモーに氷を売る)タイミングは大事なので、しっかり検討しましょう。

 

(3)資料の充実度、素材の充実度、そして参考見本のクオリティ。

●資料は多ければ多い程良いです。

webサイト 過去印刷物、写真(掲載する場合は、原寸で300dpi〜 掲載5センチ角くらいで600pixel角の使用権を許可された画像)、各種製品のメーカーからの資料、競合品情報…。応募者の中には、そういった物に一切目を向けず、素材を紙面上に整えるレイアウトだけに専念するタイプもいると思いますが、「製品をさわった事もない人間が、それを伝えられるのか?」ということになっていきます。もちろん筆者である私も全ての仕事が綿密な打ち合わせをしてというものでもないのですが、遠方の依頼者様でも製品を送ってもらったり、展示会に出展される時に伺ったり、極力理解を深める努力をしています。

些細なことですが、大きな製品と小さな製品、実物を見ようともしないデザイナーは、同じ大きさで紙面レイアウトしかねないです。それを見た読者は、同じ大きさの二品を選び、実物が届いた時に大きさの違いに不満を抱く、そういう問題をなくす為にも、資料から製品や企業を勉強するデザイナー、コピーライターでないといけません。会社案内や店長こだわりの逸品なら「体温まで伝わるか?」ということを問うくらいでのぞみましょう。

●仕上がりのクオリティーを下げない方法

参考見本として完成度の高い刷り上がり(自社のものでなくても望むイメージ、クオリティの物)などを提示するというのもあります。「この見本のレベルまでクオリティはあげてください」という提示です。

●欲しいイメージが決まっているときの方法

例えばデザイナーにイメージ創りから全てお願いできるのでしたら、まったくの「おまかせ」で仕上がりを楽しみに待てばいい話なのですが、いかんせん自分の考えたイメージと頼んだデザイナーに感覚的なズレが生じてしまって困った・・・。こうなっては元も子もありません。さらに、コストを削減するために商品の撮影はデザインとは別に事前にフォトグラファーに頼んで撮って貰うことにした所、フォトグラファーはとくに広告案を考えずそのまま撮ってしまい、最後に仕上がったのは、ちぐはぐなイメージの集合体。これでは、お金の無駄です。少し奮発してでもアートディレクターをつけてイメージをコントロールすべきでしたね。

こういったイメージのズレは、伝え方が上手でないために起こるのです。言葉で伝えにくい場合、資料として写真一枚で、全ての関係者に強烈に確実に「自分の頭の中」を届けることができます。「美味しそうなパンの写真」と言葉だけで伝えても、(カリカリの焦げ目にバターが溶けているのを考える人)もいれば、(手でちぎったふんわりとした生地の柔らかさを考える人)、(白いテーブルに白いカップ朝食の爽やかさを考える人)、(可愛い幼児が笑顔でほおばる姿を考える人)、様々です。撮影の予算がなければ、素材集やフォトストックから採用となりますが、多少の予算があれば、市販のパンフレットや雑誌、あるいは写真家の写真集、webサイトなど様々な画像を見て、言葉だけで伝えず「例えばこのような」というイメージ提示で、各人のズレを解消できます。ただし、自分の想定以上を求める場合は次の項目も参照してください。

●自由な発想を期待する場合

「提供のサンプルイメージや原稿にとらわれないでください。どんどん改変して、独自の考え方で提案してみてください」という依頼方法が良いでしょう。そういった呼びかけがないと、基本的に日本人のクリエイターは受け身な姿勢の人が多く、例えば提供されたコピーをそのまま使う、しかし内心は、「もう少しわかりやすくした方が(あるいは小見出しを追加した方が)伝わりやすい、これでは説明しきれていない」と思っても、「原稿通りに作成」という姿勢のまま提案する人が多いです。勝手な事をして叱られるのを嫌がる文化的な背景もあります。ハウスルールなど守るところは守りつつも、クリエイターに自由を与えると、ドンドンとアイディアが提案されます。

 

(4)クラウド型コンペに多い、捨てアイディアの量産。

本来の広告代理店などが行なっているコンペティションは、ある程度のフィーを制作者に払う見返りに、資料を分析し、企画書を起こし、何案もの切り口からのア プローチを細部までデザインやコピーに落とし込みブラッシュアップした提案をプレゼンテーションされるものです。クリエイティブで一番力のかかる仕事では あります。

残念ながら、この部分を「仕事を獲得する」という人参をぶら下げたクラウドに展開した結果、企画書も起こさず、カラーバリエーションかというような水増しアイディアで展開して、デザインやコピーを突き詰めた案を提案する事を忘れ、思いつきを放り投げてくるクリエイターも出てきました。本来、クリエイティブワークはコンセプトから始まる物です。ラフスケッチに20のアイディアを起こしたら、本当に「これは市場に出しても反応取れる、信頼を確立できる」というものは、その中でもわずかです。20考えて2、3が本質に迫る。それを1考えて1出すというワークフローでやっているのなら、本質まで迫る突き詰めたクリエイティブのアイディアや表現は望めないでしょう。全ては、「仕事を貰うこと」だけが目的になってしまった弊害です。依頼者様の業績をあげるためのデザインやコピーを提供することを忘れているクリエイターもいることを認識しましょう。

 

(5)原寸出力確認、どの距離で見る(読む)のかを確かめましょう。

アナログ時代のデザイナーは、ポスターは必ず壁に貼って、実際の見え方を確認しました。専門的には「見た目のセンター」とか、文字の粗密なフォルムにあわせて、背景とオブジェクトのバランスを調整していました。デジタルになると、機械的にボリュームが偏っていようが、右端と左端の中心地をセンターとしてあわせるケースが出てきました。アナログ時代の見た目重視を知らないモニタの中だけで完結してしまうデザイナーは、そういった実際にどう見えるかという点が抜け落ち、結局は、仕上がったものがなんとなく不完全な、落ち着かない仕上がりとなるケースもあります。

ページ物は実際にノドにかかる部分の確認(文字は避けます)やページをめくって読み進める感覚、記入欄で文字が書けるスペースを取っているか、箱ならダミー箱を陳列棚に置いてみた印象、ポスターは離れて見る、チラシやパンフレット雑誌は近くで見る、新聞雑誌は記事を読む視点で広告も読まれるが、チラシは第一印象を見るだけ等、最終形態が画面のwebで無い ものは、どれだけ仕上がりのシミュレーションして作られているかというのも大事です。

メールと画面のみ脳内だけで作るなら、相当に経験値が高い人でないと、「インクが沈んで、あるいは背景の壁と同化して、見えにくくなった」「前半と後半でカタログとしての統一感がなくなった」など刷り上がってからのトラブルを派生するケースも想定しないといけません。例えば、新聞やFAX向けのモノクロ原稿ならば、黒く潰れてしまう事を想定したデザインができなければ、失敗です。いくら美しい階調のグラデーションを採用しても、それが再現できないFAX広告ならば、仕上がりを無視した独りよがりの脳内フィニッシュという事です。そういった事も、しっかり検証しないと、若いクリエイター程、こういったミスに気付かず提案してきます。

また、優秀なクリエイターは、顧客から相応の予算での依頼を貰っているので、わざわざ他人と競い合って無償で自分の企画やデザインを時間をかけて提案する必要性もありません。公開コンペとはそういうもの、伝える為、売る為のコンセプトをあらゆる面から企画するよりは思い付きデザインの説明を後づけしたケースだってありうると理解するのが賢明でしょう。

 

(6)コンテンツのカテゴリーの整理、順序立てたストーリー展開等ができているか?

広告でもパンフレットでもメリハリの付け方がないと、魅力の無い物になってしまいます。メリハリあるものとないものは下記のイメージで比較してみてください。

左側はまったくメリハリのない構築、右はビジュアルも含めて整理した構築法です。

伝える原稿が同じでも、一番目立つヘッドラインコピーに据え置く、その上にタグラインコピーとして赤色の囲みで目立たせる、掲げた指先で読ませるべきキャッチフレーズを指し示す、こういった視線の流れを意識したデザインは、割と読者の印象を左右する大事な事です。

白地背景に対してベタ地のバランス(心地よいか?スカスカか?圧迫感があるか?)、大見出しと小見出しと本文を使い分けた情報の整理(見出しだけでも情報が伝わる)そういった情報順位のメリハリを視覚的にもつけているかどうかは重要なデザインの選定基準です。

カテゴリーを整理するのも大切で、上記の例では、小さい掲載で見えにくいですが、ある社内キャンペーンを想定した広告で、上半分が一番伝えたい「営業力向上システム(を実施します)」のメッセージとそのサイトのイメージ、モデルで向上する営業マンのイメージと作成しています。

大事なメッセージだから、視覚的にも伝わるビジュアルを入れて50%の面積を使用しています。次に20%で緑色のアイコンで三項目をカテゴリーとして統一させ、具体的な構成、目的、ワークフロー(矢印での図解)を配置しています。その下に20%でわかりにくいシステム構成を図解としてみせ、それと同じカテゴリーに質疑応答を掲載しています。これでひとつのカテゴリーです。最下欄には10%以下で、使用上の注意など大きく伝えなくてよい項目を整理します。

左側例のカテゴライズもしっかりしていなく、どの項目も大小の差がはっきりしない割付に対し、右は(メインメッセージ+ビジュアル50%)→(その具体的説明3項目20%)→(さらに詳しい情報20%)→(注意事項10%)と、情報を整理し、大きさにメリハリをつけて調整しています。こういうことは広告作りの基本なのですが、例えばイラストレーションが本業で、広告の作り方を学んでいない人もレイアウトができるため応募してくるケースもあり、どことなくごちゃごちゃ整理されていない情報を紙面に揃えて配したレイアウトだけを提供するという場合も想定しなければいけません。広告は広告や販促物を作ってきた人でないとデザインもコピーライトもレベルの高い仕上がりは望みにくいです。経験者かどうかもしっかりとプロファイルなどで確認しましょう。

 

(7)第一印象で人の心が動く言葉とイメージか?

上記は、様々デザイン手法を記しましたが、一般読者は第一印象でしか判断しません。自分以外のターゲット層に近い人に見せて好反応するのか?そういう「心をつかむ、ささる」というのはとても大事です。実際に見てもらって意見を募ることで、市場に出す前に反応を少しは確認できます。とはいえ、人という物は、潜在意識と健在意識が違うケースもありますし(どことなく変な感じを潜在的に受けていても上手く言葉に表せず、健在意識では良いと言ってしまう等)、自分勝手に好みでカワイイ、かっこいい、もっとヨーロッパ風にしてほしい、もっと伝統色があってほしい等、主観だけの意見を出す事も多いです。

そんな中で、「実際に買いたいか?」というところに直結していくような意見(例えば文字が見えにくい、色が食品として好ましくない等)を吸い上げて、PDCAサイクルを回していきましょう。とくに紙媒体はwebと違って印刷してしまってからの修正は高コストで無駄も生みます。校正期間にPDCAを擬似テスト的に回せる事が成功に向けての準備です。

 

(8)見た後に強烈な一つのメッセージが脳裏に残るか?

(7)の項目を受けて、見た人にしっかりと「一番伝えたいことが伝わっているか」の確認も大切です。(1)の5W項目等整理できていれば、こういった所で迷走はないのですが、得てして陥るケースに、(とにかく新商品がでました)(こんなラインナップですAもBもCも見てください)(〜〜の御案内です)など、フォーカスが甘いメッセージだとインパクトの弱いメッセージになりかねないです。もちろん、(新商品発表)や(御案内)というのも大きなメッセージになりうるのですが、もし可能ならば(競合社よりもコンパクトで幅広い年代に支持されるテーマをもとに開発した新商品です)(厳しい経済状況でも貴社の要求に細やかに合わせてお伝えできるセミナーの御案内です)といった、差別化ポイントや具体的なメリットを伴わせたメインメッセージを伝えると売上げにも影響するでしょう。具体的に●●な人に向けてと明示するのが大事です。

実際に(〜予防)という機能やターゲット状況によったメッセージから(〜で若く健康的なライフスタイルへ)とターゲットの現在を好転させるメッセージにアレンジしていった事で売上げが好調になっていった例を聞いております。真剣にキャッチコピーなどのアプローチも検討しましょう。

 

(9)ハーモニーは、狙うものとマッチングしているか?

「らしさ」を表現できているか?さらに踏み込んだ解説になりますが、ブランドがあったり、これから確立していきたいという場合は「らしさ」の演出が大事です。コカコーラの自販機が白や青だったら「らしくない」ですよね。一昔前のライオンズマンションの外観タイルはレンガ色だったので、玄関のプレートを見ずとも特徴がよくわかりました。逆にヨーロッパなどの街並は、個々のビルで勝手に色をつけず、青い空と海に映える白壁の家の街並等、景観条例や町づくり意識などで、景観としてひとつのイメージを作り出しています。

広告やパンフレットなら、構成要素は「書体」「色」「ホワイトスペース」「写真、イラストのトーン」「オブジェクトの幾何学図形や線」「立体風や影などエフェクト効果」「レイアウト」です。

コカコーラがコーポレートカラーのレッドをベースに、流れるようなフォルムのロゴタイプで同じイメージ、同じ味としてグローバル展開でのブランドを確立しているように、視覚的なイメージもひとつの商品ブランドや企業ブランドとして狙うイメージがあれば、構成要素のハーモニーが上手くコントロールされて仕上がっているかチェックしないといけません。

きれいな女性の写真に薄ピンクの背景なのに、肉太の角っぽい黒々した書体をあわせるのは「変な物を狙う」という印象しか与えられません。感覚的な点ですが、例えば追加や変更の修正を依頼する場合も、このイメージを壊さないようにデザイナーの裁量で調整をしながら修正していくと良いでしょう。

 

(10)法律上の表記はクリアしているか?

健康食品なら薬事法、看板なら屋外広告物の条例、不動産や旅行の広告パンフレットなら、物件概要や旅行条件などを指定のポイント数以上の大きさで必要項目を掲載する等、難しい法律やルールがあります。こういったことは、発注者の方も十分承知しているケースが多いのですが、まれに「試しで健康食品通販に挑戦」などと、何もご存じないままに臨まれるケースがあります。

何の認可もとっていない健康食品(サプリメント等)は食パンと同じく普通の食品ですので、医療行為を思わせるような体の部位や疾病名、治療や改善を思わせる表現は、刑事事件として検挙(つまり逮捕もありえます)されます。さらに、景品表示法などの法律もありますので、極端な客寄せネタで過度に煽ったり、まぎらわしい表記で誤認しかねない広告は法律違反、措置命令となります。広告に関する法律の解説もオンライン上に沢山記されていますので、気になる方は自主的に勉強しましょう。

 

(11)アイディア盗用を防ぐ非公開設定。

ロゴなどで公開コンペにされているケースもよく見受けられますが、(4)(5)の項目で記している通り、真剣にクリエイティブワークをするとなると、アイディアを練ることも磨き上げる技術も大変な労力や時間を伴います。

それを無償のコンペで募るわけですから、世の中には、「苦労をしないで報酬だけ貰う」という狡い考えを持つ人も一定数は存在してきます。生真面目に無償コンペも将来への先行投資と考える勉強中の人や営業開拓やポートフォリオ作りの一環でがんばって良い作品を作り続ける人に出会えればラッキーですが、中には、そうやって時間をかけて作ったアイディアが公開されているのを見て、アイディアを盗用して(考え自体に著作権は発生しません)、小手先でアレンジして、いわば改良案を自分の作品として提案する輩もいます。

クリエイティブで一番厳しい作業は0から1を生み出すアイディア考案です。そこを他人のふんどしで、フィニッシュだけ整えて、苦労をせず短時間で効率的に数を提案して、あわよくば落札しようという、クリエイティブ魂よりも商売の効率ばかり、あるいは他人との勝ち負けのゲーム感覚に目がいってしまっている応募者の場合、アイディアを自分で生み出しているわけでないので、表面の調整しかできませんし、別の依頼を白紙からの企画で依頼したとしても、そういったアイディアを出せなく、結局何回もコンペで新しいクリエイターを募集するはめになることになるケースも想定できます。

クリエイティブというのは、自社や製品のことをよくわかっていて、クリエイティブ以外にコミュニケーションも能力が高くて、できればワンストップで万能に任せられる人をキープするのが大事です。1回限りはハズレクリエイターだけにして、良いクリエイターがくれば、その人を囲い込む事が大事です。二度とあえないタイプかもしれませんし。コンペの公開、非公開は賛否あるところですが、上手に使い分けましょう。

 

(12)発注金額について。

高額な金額設定ほど、応募数と質の高い作品が集まると聞いた事はないでしょうか?。例えばあるデザイナーは10万円でロゴ一式企画制作しているとしましょう。提案数を減らしたり、マニュアル作成を省略したりした若干の割引が限度で、1万円で募集している案件に、普段顧客に提案している作品を出してしまえば、従来顧客に対する不誠実な対応となってしまいます。

そういう人は社運をかけたマークや販促物の提出という責任感、プレッシャーも大きいものです。そういう仕事をしている人を無償コンペで見つけるのは難しいでしょう。相場は日本の中でも印刷会社、広告代理店とバラバラですし、極論をいえば言語と文化が影響しない単なる作業要素が強い物なら途上国の値段に先進国が勝てる訳はありません。東京で、その値段で労働生産性の採算を合わそうとなると、雑な仕事になりかねません。

クリエイティブは、考える仕事とその提案数や質が一番大変。ブラッシュアップしていく作業も次に大変。お客様に優しく丁寧な対応で、あらゆる対応(細やかな修正から納品形態の多様性、付加する作業の合算受注、仕上がり想定した検証)する事も大事。労働生産性を鑑みますと、頭を使わず、さほどデザイン等を磨き上げず、メールでデータを送信するだけの仕事ほど安くても失敗しないということです。

 

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(執筆者 渡辺 剛 神戸文化短大デザイン美術科卒。1991年よりグラフィックデザイナーに従事。1998年より独立して制作事務所スイスタジオを設立。)

 

●ロゴマークの正しい選び方について

●ストック写真の選び方について

 

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